05. ILLUSTRATOR
K.M.
2011年入社 / 前職:アルバイト
あんさんぶるスターズ!!
リードイラストレーター
自分の描いたキャラクターがやがて ステージに立ち、アイドルとして熱狂を生みだす。



入社まで物語の挿絵や人物が描いてみたかった。
大学では日本画を専攻していました。デッサンなど基礎力を伸ばしたいという思いがあったのと、日本画の岩絵具を使ってみたかったから。岩絵具ってすごく高いんですよね。学生だったら自由にさわれるかなと思って。でも、画家になりたいというわけでもなく、最終的に何か絵を描いて食べていければ良いなと思っていました。漫画家を夢みたこともあるけれど、ストーリーが絶望的に書けない(涙)。風景や物よりも、人を描くのが好き。趣味が読書なので、物語に出てくる人や挿絵を描いてみたいと思っていました。
就職活動では、ゲーム会社をいくつか受けましたが、ダメでした。自分のコミュニケーション力のなさと根性を叩き直そうと、大声で話す居酒屋でアルバイトしたりしました。そんなときに大学の友人から声をかけてもらい、イラストレーターのアルバイトとしてHappy Elements株式会社へ。もう、毎日が楽しみでした。絵を描いてお給料をもらえるなんて、なんて素敵なんだろうって。
現在の仕事基準となる元絵をつくり、メンバーに描いてもらう。
いまは、『あんさんぶるスターズ!!(以下あんスタ!!)』のリードイラストレーターを任されています。リードイラストレーターの役割というのは、タイトルによって少し違うのですが『あんスタ!!』の場合は、キャラクターデザインの根幹となる元絵をつくることがひとつの仕事。『あんスタ!!』の世界観があり、設定されたキャラクターの性格やストーリーがあり、それを自分で消化しながら線画で描いていく。どんな頭身でどうデフォルメするのか。基準を決めていきます。その基準をもとに、10名程度の線画を担当するイラストレーターに描いてもらうディレクション業務も私の仕事です。
とはいえ、さまざまなイラストレーターに統一されたキャラクターを描いてもらうことは非常に難しい。イラストレーターだったら、“自分らしさ”を出したいじゃないですか。でも、個性を出すと『あんスタ!!』の世界観から外れてしまう。かといって、私に言われた通りに描いていてもモチベーションは上がらない。
その人の美意識を大事にしたいので、バランスにはいつも苦労します。『あんスタ!!』の世界観を守り、私の想像よりも良いものは、なるべくそのまま描いてもらっています。構図やポージングなど演出を含めて提案してくれる人は良いですね。「こんな案がありますよ」と提案があって、話し合いながら決めていくのが理想。イラストレーターの目的は、絵を描くことじゃなく、コンテンツで伝えたい印象を絵で表すことなんだと思います。
ここがHappy Elements株式会社らしさ!
2度の打ち切り、3度目の挑戦で。リードイラストレーターを担当するのは、実は3度目なんです。1度目に挑戦したタイトルは、すぐに終了。2度目も短期間で打ち切りに。もう、エンジニアやデザイナーのみなさんに申し訳なくて。まだソーシャルゲームが流行り出した時代で、当時はカードイラストのよさで売れる部分も大きく、絵のよさがダイレクトにゲームの評価として出ましたから。でも、それでもめげずに、当時社内で公募していた『あんスタ!!』のキャラクターデザイン担当に応募して、採用してもらいました。3度目の正直で、なんとか今にいたる。何度失敗しても、またチャレンジできるのは、当社らしい良さだと思います。
思い出に残る仕事3Dライブで、ユーザーが涙している姿に感激。
2019年ごろ、『あんスタ!』で描いてきたあるユニットの区切りとなるイベントがありました。人気が高かった分、ユーザーさんから求められるハードルがめちゃくちゃ高く感じて、個人的にすごく苦しかった。大きなプレッシャーでしたが、最善をつくすしかない。とにかくプランナーや他のイラストレーターに意見を聞いたり、資料を読み漁ったり。あるいはSNSでユーザーさんの反応を参考にしたり、なりふりかまわずやれることをやりました。そして、イベント予告での発表。恐る恐るSNSをのぞいてみたら、すごい反響が!自分のカード絵に込めた思いが、細かなところまでユーザーさんに伝わっていて、「ああ、こだわりをちゃんと感じとってもらえたんだ」と、感激しました。
そして次は、3Dライブのイベントへ。ステージのスクリーンに3D映像を流しながら生演奏するリアルイベント。3Dだと分かっているのに、ユーザーさんの声援の熱量がすごくて、中には泣いている人さえいました。その光景を目の当たりにして、最初は制服の立ち絵でしかなかった彼らが、多くの協力者の力で3Dになり、こうして大勢のユーザーさんに愛されている。ちゃんとアイドルとして成長できてよかった、と。私自身も、本当にやりがいある仕事を任されているんだと、胸が熱くなりました。もし私がフリーランスだったら、こんな経験はできなかった。みんながそれぞれの専門分野でベストをつくし、チームでやるからこそ実現できたんです。
今後の夢ユーザーによりそった楽しさを追求したい。
イラストレーターとしてのいちばんのやりがいは、やっぱり自分の描いた絵でユーザーさんに喜んでもらうことです。みんなの反応が気になるから、しょっちゅうSNSを見ちゃいますね。ヒットすればするほど次回作のハードルも上がりますが、まだまだ、もっともっと、『あんスタ!!』を、良いものにしていきたいですね。ちなみにHappy Elementsでは、売上を上げろなど、とやかく言われることはありません。でも、私自身はすごく気になっちゃう(笑)。だって、良いものをつくってユーザーさんに届けば、自然と売上が上がると思うから。売上が多いと、それだけユーザーさんが喜んでくれた証拠だと思うからです。
最近はメンバーも増えて、会社も大きくなってきました。でも、パッと相談して、ワッとつくる、文化祭的なテンションを忘れずに、ユーザーさんによりそった楽しさを追求できる会社にできれば良いなあと思います。